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読んだり、書いたりの日々
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わたしの愛人はもの書きだったけれど
あの人と文学のはなしや
有名な作家のはなしなどしたことはない

わたしたちがやることは
もっぱら呑みに行くことだった

新宿のゴールデン街や
なぜかしら、たまに吉祥寺にも行く
もちろん必ず手を繋いで

わたしが荻窪に引っ越したおりに
あの人が小さな絨毯を買ってくれた
きれいな色の絨毯でね
よくわかってるわね、と思わせる色なのよ

君はおっちょこちょいだし
落ち着きがなく家を走り回るから
絨毯がずれないようにしないとね、と言いながら
滑り止めのテープを絨毯の裏に貼ってくれたのよ
わたしは、あの人のそういうところが
本当に本当に好きなの

きのうの午後三時過ぎに
あの人のご遺族から連絡をいただいたの
生前に父がお世話になったみたいで、って
電話を切ったあと
ちょっと笑っちゃったのよ
あの人の声によく似てたから

だから、あの本をね
今日は、久しぶりに読んでいるの

あの人が
必要ならば読みなさい
そういって持ってきた本を

そうそう、ご遺族の方がね
残りの本をわたしにくださるんですって
嬉しかったし、それで十分なの
わたしには、少しばかりの貯えもあるんだし
もう年寄りだから

わたしの愛人はもの書きだったけれど
あの人と文学のはなしや
有名な作家のはなしなどしたことはない

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眠っちゃだめだよ

目をあけてごらんなさいよ

ほうら、お月さまがきれいなんだから

こらこら、眠っちゃだめだよ

いまは、まあるい、この月だって
どうせ、ほころびてゆくんだから
いま、眠ったって、どうってことない

また、きみって人は
月は、ほころびるのではなくて
欠けてゆくんだよ

でも、あたしは、ほころびるって方が好き

そう云って
すーすーと寝息をたててる

月のほころび
架空のお庭に
うさぎは跳ねる
いまは満月

拍手[1回]

女は子供を産むことで
いったい何を手に入れるのだろう

そのようなことを
キャベツを食べながら
ぼんやりと考えていましたら
窓の外には月がありました

この月をすべて飲み込む
キャベツごと飲み込む

批判めいた思考には
比較するなにかしらが必要
なので、わたしは、反対側から考えました

女は子供を産まないことで
いったい何を手に入れるのだろう

あぁ、それでも
そこには、さきほどと
寸分の違いもなく月がありました

産まないことが自由であれば
産むことも自由であろうに
産むでもなく、産まないでもなく
産める可能性に縛られているのだなぁと思いながら
月に照らされた指を見ますと
青白く、しゅっとしていました
爪は、さらに、しろく見えました

女よ、女よ、女たちよ
何度も叫びました
正確に言えば、心の中で

公園のブランコが
ときおり、ギーと音を立てる
そちらを見たい気もしましたが
月から目をそらすと
わたしは、ただの、女になってしまいそうで
どうしてもできませんでした

月あかりの下で
キャベツを食べながら
わたしは、少女のままでいたかったのです

だってもうすぐ
すぐ、すぐ、すぐに
あなたがお帰りなのだから

失われたキャベツ
存在し続ける月
タクシーに乗り込むあなた
全てを受け入れる、わたし。

拍手[1回]

私は元来、死んでいるのではないかしら?

そんな風に思いふけることが常々あった。

ですから、できるだけ、できるかぎり
死人らしく行儀よくしておこう
死人らしい日々を試行錯誤しつつ生きている。

なぜ、死人らしさにこだわらねばならないかと言えば

死んでいるように思うけれど
実際の私は死人にふさわしくなく
大声で笑い、やかましく怒り
ちょこちょこと動き回り
しょっちゅう食べているし

これは、生き生きと生きている人の特徴ではなかろうか?
そう思わずにいられないからだ。

鏡をみる。

私は、やはり、死んでいるのではないかしら?
疑いながら口角を上げてニヤリとした
どこかでみた顔である

あぁ、12歳の私だわ

こんばんわ。

声をかけてみたけど、12歳の私は返答しない。

ほら、こんなことくらいであれば、だれでも思いつきそうなものだ。ちょっと本を読むのが好きだったり、ちょっと映画を見るのが好きだったならば簡単なことだ。にもかかわらず、私は12歳の私との会話を楽しむのである、さっき買ってきた燻製を口に放り込み、シャルドネを飲みながら、―――

しかしながら。

会話など成りたっておらず、私が、こんばんわと言っただけ、それでも私は何かを書こうとキーボードに触れているし、こういうときに思うのだ、私は死んでいるのではないかと。

質問というものは、純粋であるのだろうか?
ねぇ、きみ、その批判は純粋なのか?
その浪費は?その堕落は?その混沌は?
いったいどこまでが純粋なのかね?

≪公平に取り扱ってください≫12歳の私が12歳の分際で、言った。

ねぇ、その反論は、純粋であるのかい?

ですから、最初から申し上げたように、私は、元来死人ではないかしら?と思いながら、いかに死人らしく振舞うのかに神経を使いながら生きているわけです。

個人的なことがらを語ることない純粋な幻想が、無駄な日々を丁寧にたんたんと美しく織り上げていくことを、私は≪生きる≫と呼んだりするの。

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君のお尻の形が好き

余所見しつつ
鼻唄なんぞ唄いつつ
お尻を見つめる
あぁ幸せ

頼みもしない音楽が
流れるステレオ
嬉しくなった
手をつなごう

君のやわらかな胸が好き

眠いときも
考えごとの最中だって
やわらかい部分をつかめば
あぁ幸せ


君の家の側にある
虹の上で待ち合わせ
楽しくなった
抱き合おう


忙しいなんて気のせいだ

僕の愛をこぼさないよう
可愛いお口で、しっかりと

君の愛をすくい上げたら
少し舌も疲れてしまう

さっきから
信号はすべて青
赤や黄色など忘れてしまう

準備はいいか
月になるよ
星になるよ
おいで
行くよ
いま
来た

夢をみた。

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