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読んだり、書いたりの日々
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眠っちゃだめだよ

目をあけてごらんなさいよ

ほうら、お月さまがきれいなんだから

こらこら、眠っちゃだめだよ

いまは、まあるい、この月だって
どうせ、ほころびてゆくんだから
いま、眠ったって、どうってことない

また、きみって人は
月は、ほころびるのではなくて
欠けてゆくんだよ

でも、あたしは、ほころびるって方が好き

そう云って
すーすーと寝息をたててる

月のほころび
架空のお庭に
うさぎは跳ねる
いまは満月

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女は子供を産むことで
いったい何を手に入れるのだろう

そのようなことを
キャベツを食べながら
ぼんやりと考えていましたら
窓の外には月がありました

この月をすべて飲み込む
キャベツごと飲み込む

批判めいた思考には
比較するなにかしらが必要
なので、わたしは、反対側から考えました

女は子供を産まないことで
いったい何を手に入れるのだろう

あぁ、それでも
そこには、さきほどと
寸分の違いもなく月がありました

産まないことが自由であれば
産むことも自由であろうに
産むでもなく、産まないでもなく
産める可能性に縛られているのだなぁと思いながら
月に照らされた指を見ますと
青白く、しゅっとしていました
爪は、さらに、しろく見えました

女よ、女よ、女たちよ
何度も叫びました
正確に言えば、心の中で

公園のブランコが
ときおり、ギーと音を立てる
そちらを見たい気もしましたが
月から目をそらすと
わたしは、ただの、女になってしまいそうで
どうしてもできませんでした

月あかりの下で
キャベツを食べながら
わたしは、少女のままでいたかったのです

だってもうすぐ
すぐ、すぐ、すぐに
あなたがお帰りなのだから

失われたキャベツ
存在し続ける月
タクシーに乗り込むあなた
全てを受け入れる、わたし。

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私は元来、死んでいるのではないかしら?

そんな風に思いふけることが常々あった。

ですから、できるだけ、できるかぎり
死人らしく行儀よくしておこう
死人らしい日々を試行錯誤しつつ生きている。

なぜ、死人らしさにこだわらねばならないかと言えば

死んでいるように思うけれど
実際の私は死人にふさわしくなく
大声で笑い、やかましく怒り
ちょこちょこと動き回り
しょっちゅう食べているし

これは、生き生きと生きている人の特徴ではなかろうか?
そう思わずにいられないからだ。

鏡をみる。

私は、やはり、死んでいるのではないかしら?
疑いながら口角を上げてニヤリとした
どこかでみた顔である

あぁ、12歳の私だわ

こんばんわ。

声をかけてみたけど、12歳の私は返答しない。

ほら、こんなことくらいであれば、だれでも思いつきそうなものだ。ちょっと本を読むのが好きだったり、ちょっと映画を見るのが好きだったならば簡単なことだ。にもかかわらず、私は12歳の私との会話を楽しむのである、さっき買ってきた燻製を口に放り込み、シャルドネを飲みながら、―――

しかしながら。

会話など成りたっておらず、私が、こんばんわと言っただけ、それでも私は何かを書こうとキーボードに触れているし、こういうときに思うのだ、私は死んでいるのではないかと。

質問というものは、純粋であるのだろうか?
ねぇ、きみ、その批判は純粋なのか?
その浪費は?その堕落は?その混沌は?
いったいどこまでが純粋なのかね?

≪公平に取り扱ってください≫12歳の私が12歳の分際で、言った。

ねぇ、その反論は、純粋であるのかい?

ですから、最初から申し上げたように、私は、元来死人ではないかしら?と思いながら、いかに死人らしく振舞うのかに神経を使いながら生きているわけです。

個人的なことがらを語ることない純粋な幻想が、無駄な日々を丁寧にたんたんと美しく織り上げていくことを、私は≪生きる≫と呼んだりするの。

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あんまり怖いと
人は不思議な行動をとるものです。

夜中に冷蔵庫を開けて
バターをぺろぺろ舐めました。

本当は、君を舐めたいところだけれど
バターをぺろりと舐めました。

君の寝顔を思い浮かべては
ときおり泣いて鼻をかみました

でも、あまり泣いたりすると
ティッシュの無駄遣いになるなと思い
涙を流さず泣きました

いわゆる、泣きまねです。

えーん、えーん、と声にして
君を想って泣きました。

ちっとも泣いてる気がしないので
私の気持ちは冷めてゆく

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3日前に戻りたいと神様に祈ってみたのは
無駄な抵抗をするという病にかかっているからだ。


風が吹いたからね、などと自然に責任を押し付けて
無駄に抵抗したあげく
ぐったりして、すべての事を諦めてしまう
これが、私の悪いところであり
とても可愛いところでもある。

マンションに戻って一人ぼっちになるのは嫌だったから
どうでもいいような男に電話をしてみる
わざわざ出て来てくれた、その人のネクタイを見ただけで
こんなことなら女友達にすればよかったと後悔する

どうでもいいような店で呑みながら
どうでもいいような話を聞いていた
それでも、一人ぼっちよりは、うんと幸せだと
自分で自分を慰めるのだ、いつもいつも。

たらふく呑んで食べたら
無性に独りになりたくなったので
急用ができたと嘘をついた
申し訳ないので、その人の分までお勘定を払って店を出たら
罪の意識はすごく軽くなって
なんだか、身体も軽くなった。

生まれて初めて恋だと思えるような
痛くて切なくて苦しいものを味わった
15の頃の美しい気持ちは、何処に行くのだろう
今の私は、のっぺらぼうのようだと
帰る道すがら思ったけれど涙などは出ない

思いもよらず、1度だけだけれど
1カ月ほど、にわか愛人になったからかもしれない
そうやって人はのっぺらぼうになってゆくのかもしれない

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