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読んだり、書いたりの日々
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わたしの愛人はもの書きだったけれど
あの人と文学のはなしや
有名な作家のはなしなどしたことはない

わたしたちがやることは
もっぱら呑みに行くことだった

新宿のゴールデン街や
なぜかしら、たまに吉祥寺にも行く
もちろん必ず手を繋いで

わたしが荻窪に引っ越したおりに
あの人が小さな絨毯を買ってくれた
きれいな色の絨毯でね
よくわかってるわね、と思わせる色なのよ

君はおっちょこちょいだし
落ち着きがなく家を走り回るから
絨毯がずれないようにしないとね、と言いながら
滑り止めのテープを絨毯の裏に貼ってくれたのよ
わたしは、あの人のそういうところが
本当に本当に好きなの

きのうの午後三時過ぎに
あの人のご遺族から連絡をいただいたの
生前に父がお世話になったみたいで、って
電話を切ったあと
ちょっと笑っちゃったのよ
あの人の声によく似てたから

だから、あの本をね
今日は、久しぶりに読んでいるの

あの人が
必要ならば読みなさい
そういって持ってきた本を

そうそう、ご遺族の方がね
残りの本をわたしにくださるんですって
嬉しかったし、それで十分なの
わたしには、少しばかりの貯えもあるんだし
もう年寄りだから

わたしの愛人はもの書きだったけれど
あの人と文学のはなしや
有名な作家のはなしなどしたことはない

拍手[8回]

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君のお尻の形が好き

余所見しつつ
鼻唄なんぞ唄いつつ
お尻を見つめる
あぁ幸せ

頼みもしない音楽が
流れるステレオ
嬉しくなった
手をつなごう

君のやわらかな胸が好き

眠いときも
考えごとの最中だって
やわらかい部分をつかめば
あぁ幸せ


君の家の側にある
虹の上で待ち合わせ
楽しくなった
抱き合おう


忙しいなんて気のせいだ

僕の愛をこぼさないよう
可愛いお口で、しっかりと

君の愛をすくい上げたら
少し舌も疲れてしまう

さっきから
信号はすべて青
赤や黄色など忘れてしまう

準備はいいか
月になるよ
星になるよ
おいで
行くよ
いま
来た

夢をみた。

拍手[0回]

なんとなく、なんとはなしに予感していたことが
ふっとした瞬間にやってくることがある
そんな瞬間がやってきたのは
もう3月なのに雪が降ったりした日

この雪は、なんで今頃降っているのか
地面に落ちる瞬間に気がついたりはしないのか

あれ、いま梅が見えたんだけどな
このまま降ってもいいんだろうか?とかそんな風に

地震が大地を引き離すように
倫理が、その人を連れ去ってしまう

何のための雪なのか
何のための恋なのか

誰のための言い訳なのか
誰のための傘なのか

人は、大事な方に嘘をつくのだから
できれば、嘘をつかれたいけれど
やはり、嘘は嫌な気もする
できたら、ゆっくりした嘘がいい

そして、わたしは
ゆっくりとサヨナラをとなえてみる

そうしたら、彼だって
ゆっくりと手を振るだろう

最後は、二人でゆっくりとした嘘をつく

サヨナラ

拍手[0回]

君のことを想うのは
いつもの日常と何ら変わりないのだけれど


ただ愛してるとか
今度いつ会えるとか
本当に私を好きなのかしらとか

そんな風に君を想うことは
すごく幸福なことで

暗闇の一粒の光のように私を包む
そんな奇跡的な幸福という日常は何処へ行ったのだろう


誰かを傷つけることを恐れて
たくさんの言葉を飲み込んだ毎日は何処へ行ったのだろう


暗闇を歩くことを恐れて
君という光を真っ直ぐに見つめなかった毎日は何処へ行ったのだろう


あの大切な毎日は何処へ行ったかわからない
君のややこしい思想や
2人の邪魔をするプライドとか
ちょっと柔らかな言葉使いや
少し癖のある喋り方は
今も海馬の中に在るのに


また今度。
あきらめきれないのに
泣きながら、泣きながら、あきらめたり

来週はきっと会える。
希望的観測に
うなだれて、ため息ついて、頷いたり


突然に揺さぶられ
暗闇の中に放り出された
その瞬間は現実だと認識しながら

錯乱している
逃避している
それでも、今日も、君を想う


星を見ても、月を見ても、雪を見ても
君を想う、君だけを想っている

此処に私がいることはまぎれもない現実


いつか結ばれる。
それが叶わない願いでも

君は運命の人。
それが過ちと呼ばれる恋でも

暗闇に灯りをともすように
少しずつ思い出すことにした
そうしてる間、君を失うことはない
だから思い出すことにした

君のいない世界は真っ暗

すぐに会いに来て
誰かを傷つけるとしても会いに来て
そんな言葉は届かないけど吐き出してみる

どんな言葉も届かない電子の波に乗って眠ろう
どうせ届かないけれど
永遠に届かないけれど
そんなことは取るに足らないようなこと


この非凡なる暗闇のような日常で
私は君に会いたいだけです、ただそれだけ。

拍手[2回]

「先生、あのね」

背骨の中に空気を通すように呼吸してから
私は先生に言ってみた
思ってることを言ってみた。

地球に在るもの、すべての事や物や人や場所は変わるんだな
それは、善悪とか、正誤とかが及ばないことなんだね

私が、右手に握っている携帯を開こうが閉じようが
地球にしたら、そんなこと、さもないことであって

久しぶりに、ふと思い立って
懐かしい、あの場所に行ってみたら
なんとなく空気が変わったなと感じるときがあるし

もう、此処は私の居場所ではないんだと
本能的に感じられる瞬間があるよ

そんなときに、あぁ私は間違いなく生きていると思う
自分が居心地良いか悪いかが日替わりでね
人に対してもそうなんだ
会いたい人と会いたくない人が日替わりなの
そんなときに、あぁ、生きているな。と痛感するよ

一気にまくしたてた
少し息が上がるくらいだった。

あんまり、一気にしゃべったので
少し黙っておこうと思った
なにしろ、人生はバランスが大切だから

ただ、先生と並んで歩きながら

思いっきり喧嘩した女の事や
さんざんSEXした男の事や
泣きながら見つめた夕日の事や
うつむいて蹴とばした水たまりの事なんかを
ぼんやりと思い出しながら私は笑った。

おやおや、まったく、という顔で、優しく先生も笑っていた。

先生の笑顔は、いつでも好印象だ
少なくとも、私にとっては好印象の笑顔だ

あの日、あんなに大きく揺れたことを
目を閉じて思い出してみる
目を開いてみたら
何一つ変わらない私が此処にいる

今日も、あのビルは恐ろしく高くそびえているし
明日には出せない色合いで日は沈もうとしている

トラックや乗用車、自転車にバイク
子供や大人や、老人や学生が
当たり前のように、私と先生のそばを通過してゆく
それは、私たちが通過していることでもある

そんな風にしながら
時間は確実に流れてゆく
私は、あの日を忘れないけれど
毎日少しずつ忘れてゆくのだから

あぁ、生きているというのは
かくも美しく素晴らしいことなのだと思いながら
丁寧にお辞儀して先生と別れた。

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