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最後のない始まり

降り止まない雨に備え
降り始めてもいないのに
傘をさす右手

ちらりと覗く笑顔に嘘はない

その柔らかな唇を
待っているのは
僕だけじゃないってことも
悲しいけれど嘘じゃない

最後が僕の肩を抱いて

―最後があるって、とても善いことなんだ。と、そう言った

最後があるから
人は、孤独に耐えられる

最後は僕の方に回した手で
優しく2回、トントンと
リズム刻むように、トントンと
叩きながら呟いた


最後の言葉は
君にも聞こえたんだろうか

君を見たけれど
気がついていないみたいで

やはり、笑顔は嘘じゃない

傘の中
ゆらゆらする
タバコの煙
肺に溶ける

最後がない始まり
そうやって始まった始まり

最後が、じゃあね。と手を振って
僕の傘から出て行った。

最後のない始まりだったから
きりがない想いとか
やるせない気持ちとか
明日で最後にしようと思ったら

最後がクルリと踵を返し
傘の中に戻ってきた

最後にすると決めたんだね
大丈夫、最後というものは
とても善いことなんだから

最後がニヤリと笑ってる

慌てて君を見たけれど
やはり気づかず笑顔のまま

僕と最後と君の物語は
明日で最後にしようと思う

最後の口が耳まで裂けて
やがて僕を飲み込むんだから
この傘ごと飲み込むんだから

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ありがとう。の安売りを見かけた。
つい先日の日曜日に、いつものドラッグストアで見かけた。
ワゴンの中で、ありがとうが肩寄せあって窮屈そうだった。
2つ先の店では、感謝。が山積みだったし
どうやら、最近流行しているらしい。

女達が、わぁわぁとはしゃぎ
時に譲りあったり、時に奪い合ったりしながら
ありがとう。をまとめ買いしていく

その勇敢だけれど、図々しい姿に、しばらく見とれていたら
感謝。を鷲掴みにした男とすれ違ったのだ。

あまりにも無造作に、男の手に掴まれた感謝が
すれ違いざまに、パサパサと、その手から落ちた。
零れ落ちた感謝は色あせていて何処か嘘の匂いがした。

気を取り直して、落ちましたよ。そう言って拾いあげたら
親切に、どうもありがとう。男が笑顔で言うものだから
少し気分が落ち込んだけれど、なんともない顔で笑った。

ありがとう。や、感謝。を
わざわざ、買わなくとも

新宿西口のハルク前で
ちいさなサンキューが無料配布されている。

こないだは、京王百貨店の前でも無料配布されていたっけ

ありがとう。や、感謝。は、わざわざ買う必要はなくなったのだ

謝謝。だって三越なんかで売っているし

あぁ、そうか流行というものはそういうものなのだ。
何処でも見かける、何処でも売っている
たまに無料配布されたり、無料でダウンロードできる
似たようなものが出回り、あちらこちらに蔓延するのだ。

コンビニや食べもの屋などで、お釣りと一緒に受けとる
ペラペラしたありがとう、ペラペラペラペラ薄っぺら
サイフの中に何枚も何枚も、何枚も薄っぺらなくせに何枚も。

あまりの、ありがとう。に胸やけがした

あまりの、感謝。に気が滅入った

ありがたく受けとらなくても
感謝して生きなくても

それでも、明日はやってくるのだから

ありがたく受けとらなくても
感謝して生きなくても

それでも、朝日は背中をゆるく暖めてくれる

ありがたく受けとらなくても
感謝して生きなくても

誰かを愛することもできるし
誰かに愛されることもできる

ちゃんと働く場所はあるし
ちゃんと住む場所もある

いつもの橋の上まで来たら
春になろうと、もがいているような風が吹いた
そこいらへんのゴミや塵なんかと一緒に
ありがとうや感謝が舞い上がって飛んでいった

あまりにも薄っぺらくて
飛んでった行く先を目で追う気にもなれなかった。
かわりに、私は少し声を出して笑った

ありがとうも感謝もいらない
ただ1歩ずつ歩けばいいのだし
笑って歩けばいいのだから

生きるとは、なんと素晴らしいことであるか
私は、花粉が充満した風を大きく吸い込んで
いつものドラッグストアでローション入りのティッシュを買うことにした。

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なにかしらを設置したり
なにかしらを配置している
男たちの声や
車や配管の音なんかが
ガタンガタンと五月蠅く響く中央公園

ブルーシートの横では
初老の男が本を読んでいたり
ただ、じっと、足下を眺めていたり
長く伸びたあご髭は
白と黒のストライプ

やたら長いリールの先に
小心者のミニチュアダックス
ビクつきながら吠えている
其処には、何もないというのに

急ぎ足のサラリーマンに
なんとなく、君を重ねて
今度、生まれてきたら
君のネクタイになると決めた
君の胸で揺れる
右に左に揺れる
君の首をそっと締めて
君の右手でゆるめてもらう

そんな、些細な人間の事情には
おかまいなしと云うように
此処にも春が来て
ちゃんと春が来て
銀世界を咲かせていた

ちっぽけな人間が
整備した公園で
ちっぽけな人間が
無数に行き交う公園で

あまりにも美しく春が咲いていた

銀世界は高層ビルを見上げ
あまりにも凛としていて
あまりにも可憐だったから

愛しい君の匂いに
鼻先をくっつけるよにして
その、春の匂いを吸い込んだ

また、春が来た
ほら、春が来た

もうすぐ君が迎えに来る

なんとなくだけど、そんな予感がした
きっと来てはくれないんだけれど
それは、そうなんだけど

銀世界は美しく咲いている
この新宿で美しく咲いている

ブルーのシートも咲いている
スーツの男達が咲いている
ちっこい犬も咲いている
お洒落な飼い主も
工事にせわしない男も
子供連れの女も
ときおり野鳥も咲いている

あぁ、君の耳の裏に
鼻先をくっつけたい
私の春は其処に在るから。

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腹直筋が下腹部をまっすぐに支えあげ

腹横筋も左右均等しなやかにくびれており

大腿筋から脇腹に向かっての曲線は

とてもなめらかなラインを描き

さらに、やわらかな形をみせている。


背筋が平らな背中に薄い波のような

ほんの少しのふくらみをもたせ

少し背中を丸めると

柔らかい皮膚の下から脊柱が浮き上がる。

私の中の

美しいライン

一番、美しいライン

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私があなたを感覚するとき

手を使い

乳房を使い

髪の1本1本

つま先やふくらはぎ

肋骨や心臓

全ての器官を使って

ありとあらゆる器官を使って

そうして

喜怒哀楽までをも使って

できる限り

精一杯に

あなたを感じるようにしているの。

決して、信じないように

ただ、感じるようにしているの。

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